マーチャンダイザーの専門誌【月刊マーチャンダイジング】

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N.F.I

月刊マーチャンダイジング

今月の視点

小売業が生涯を賭けられる産業であり続けるために…

本誌主幹 日野眞克

普遍的な価値観は
時代を超えて通用する

渥美先生に初めてお会いした20代半ばのころは、恐ろしくて話をすることもできませんでした。月刊『販売革新』の記者時代は、時々インタビューに同行して、インタビュアーの編集長の隣で、ふんふんと話を聞いているふりをしながら、ノートに意味不明の落書きをしていました。まったく不真面目な生徒でした。
30代後半に独立して何年か経った後、何かのきっかけで月刊MDにインタビュー記事を毎号掲載することになり、毎月、渥美先生のご自宅か事務所に通い続けました。20代のころはよく分からなかった渥美先生の理論や話も、実は、ジャーナリストらしく、現場取材(フィールドワーク)と数値分析に基づいた、とても分かりやすく、普遍的な論理体系であることが理解できるようになりました。
時代を超えて通用する渥美先生の普遍的な教えの第1は、「消費者主権・経済民主主義」という哲学です。
渥美先生は、「つくる立場」から、「使う立場。買う立場」という小売業のMD(マーチャンダイジング)の原理原則を説き続けられました。TPOS(タイム=いつ、プレース=どこで、オケージョン=どんな理由で、スタイル=どんなスタイルで)という「使う立場」に立った売場づくりの原則に戻ることが、小売業のMDの基本でした。
消費者主権という考え方は、深い人間愛に満ちたものだと思います。なぜなら人は、家族や友人のために我慢しながら働き、報酬を得ています。その同じ人が、消費者となる瞬間は、120%自由な存在になります。消費者主権という考え方は、人間の自由を解放する普遍的な価値観だと思います。
第2の普遍的な教えは、「フィールドワーク(=現場取材)」主義です。渥美先生は、生涯、店頭現場の「取材」と「調査」から理論を体系化し、情報を発信してきました。小売業の事件の大半は、「店頭現場」で起こっています。このフィールドワーク主義は、月刊MDの根幹でもあります。
第3は、「数値化・体系化」です。渥美先生は、何を目指すべきか、何が基準なのかということを、すべて「数値の目安」として具体化しました。
「抽象的」、「感情的」、「一面的」な発言しかしない経営コンサルタントが多い中で、渥美先生の理論は、「具体的」、「理論的」、「多面的」でした。また、単なる一面的な数値管理(たとえば売上至上主義)ではなくて、チェーンストア組織の役割に応じて、職務や数値目標を体系化したことが画期的でした。
たとえば、店舗運営部の数値目標「坪当り年10万円突破」、商品部の数値目標「坪当り年50万円突破」という具体的な数値目標は、とても分かりやすく明確でした。
特に、渥美先生が体系化したチェーンストアの『組織論』は、「孫子の兵法」にも通じる、小売業組織における戦い方の原理原則(セオリー)であると思います。
(本誌より一部抜粋)

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